医院名 |
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医療法人 竹越耳鼻咽喉科医院 |
院長 |
竹越 哲男 |
住所 |
〒371-0021 群馬県前橋市住吉町1丁目16-12 |
診療科目 |
耳鼻咽喉科 |
電話番号 |
027-231-3658 |
この質問は良く受けます。
正しく理解していただくために、まず急性化膿性中耳炎(以下急性中耳炎)と滲出性中耳炎について解説します。
鼻汁、耳痛、発熱が3大症状。乳児は機嫌が悪くなって、耳を触るのがサイン。鼓膜の内側(中耳)に膿が溜まり、鼓膜が発赤、腫脹します。鼓膜が破れて耳漏が出ることも。3歳以前、特に1歳代に多く生じます。
耳管から鼻汁が鼓膜の内側(中耳)に入って、炎症(化膿)が起きたため。耳管は中耳腔と鼻の奥をつなぐ管です。子供の耳管は大人に比べ太く短く水平で、鼻汁が中耳に入りやすい構造です。つまり耳と鼻はつながっているため、鼻が悪いと急性中耳炎になりやすいのです。
抗生剤で炎症を抑えます。軽症では抗生剤なしで経過を見ることも。しかし耳痛・発熱がひどいときは、鼓膜切開をすることがあります。切開して膿を出せば、痛みも熱も治りやすくなります。細菌量も減り、抗生剤が効きやすくなります。鼓膜は皮膚なので、切開してもふさがって、穴が開いたままにはなることは通常ありません。
急性中耳炎の化膿は改善したものの、中耳粘膜から滲み出てきた滲出液が中耳に溜まった状態。鼓膜の動きが悪化し聴力低下しますが、痛みは無いので気付かれないことが多く、乳幼児では言葉の遅れの原因にもなります。滲出液があると感染を繰り返しやすく、急性中耳炎の再発準備状態にもなります。決して「洗髪で耳に水が入った」のではないことに御注意。
3つの要因があります。
①粘膜の要因で、急性中耳炎が治っても中耳粘膜に軽い炎症がくすぶり、滲出液が出て中耳に溜まるためです。
②耳管の要因で、耳管粘膜の腫脹や耳管開口部が鼻汁で塞がれるなどで中耳に空気が入らず、粘膜の分泌液が中耳に溜まるものです。
③アデノイド(鼻の奥にある扁桃)が巨大で、耳管開口部を塞いでいたり、鼻症状の改善を妨げていたりすることがあります。
鼻汁が出ていると耳管がうまく機能せず、なかなか治癒しません。鼻処置、内服を行います。鼻汁がなくなっても改善しない場合は更に
を行います。
滲出性中耳炎は完治するまで日数がかかることが多く、就学(6歳)までの治癒が一つの目安です。難治例には鼓膜換気チューブ留置術を、アデノイド肥大が悪影響を及ぼしている例には、アデノイド切除術を行うことがあります。
「急性中耳炎に一度罹るとしばしば繰り返す」と言われています。通常、急性中耳炎は、「化膿が改善後、滲出性中耳炎に移行し、やがて治癒」します。
「中耳炎は癖になる」と思わせる要因は次の3点と思われます。
近年、薬剤耐性菌(肺炎球菌、インフルエンザ菌)による急性中耳炎・鼻炎が増加しています。(インフルエンザ菌は細菌で、風邪のインフルエンザウイルスではありません。) 主な原因は
殊に生後6~12ヶ月以内に急性中耳炎に罹ると繰り返しやすくなります。これは
また保育園での耐性菌の蔓延は
すなわち低年齢の集団保育では耐性菌による化膿性中耳炎に罹りやすく、反復を繰り返す可能性が高くなります。これが「中耳炎に一度罹ると癖になる」の正体のようです。
そんな児が多くなって来ました。
などで対応していますが、難しいのが現状です。
抗生剤を漫然と使用するのは避けたいところです。
そこで、基本姿勢は次のように考えています。
さらに、改善を目指して
それでも難治ならば
など検討していくことになります。
保育園通園中、通園検討なさっている方は、肺炎球菌ワクチンの接種をお勧めします。
(インフルエンザ菌ワクチン:ヒブワクチンは中耳炎予防の効能はありません)。
乳幼児の反復性中耳炎は免疫力の未熟さが一因です。当院では免疫力を補助する漢方治療を提案しています。
ミロ、ココアと混ぜても、リンゴジュースに混ぜてもOKです。(飲み方のプリントがあります)
(保護者が「漢方は不味いだろう」と思いながら投与すると、子供さんは敏感に察知するので、失敗することが多くなると言われています。)